ショコラノアール~運命の恋~
もう、どうすりゃいいのよう。


私とカラスのにらみ合いはもう結構長い間続いていた。

「あ、そうだ、

 これ、これ食べる?」


さっき食べていたサンドイッチをそうっと近くに置くと、


「ぎゃあっ」

また威嚇してきたけど、暫くそのサンドイッチを見ている様子で、

近づいてて啄ばんだ。

勢い良く啄み、みるみる姿を消した。


「お腹すいてたんだね」


いつからここにいたんだろう。

昨日はいなかったからそんな長い間じゃないと思うんだけど、

針金を外してあげるのは諦めた私。

カラスの方も、

私に危害を加える様子がないとわかったのか、

落ち着いて騒がなくなった。


そのまま放っておくことができない私は、

何もできないけれどそこを離れることができなくて、

ベンチに座りなおし視線を目に向けると、

その先に会いたかった人を発見した。

「うそっ

 宮君!


 宮直樹く~ん!」

お~いと思いっきり手を振った。





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