ショコラノアール~運命の恋~

「3年前のバレンタインデー。
 僕は拾いものをしたんだ。

 それは君のものだった


 今でもそれは運命だったって思ってる。

 僕は拾ったのは君が誰かのために作ったチョコレートだったんだ」


「3年前……」


「そのチョコレートには、

 そこには心のこもったメッセージと君の名前の書いてあるカードが添えられていて、

 俺がもらったりしちゃいけないものだって判っていたけど、

 それは、できなくて、

 ごめん、食べちゃったんだそれ」


「あのチョコレート、どこにあったの?」

俺は上を指差した。


不思議そうに空を見上げて目をぱちぱちさせた。

「空?」

「うん空から降ってきた」

「空からって?」

「犯人はあいつ」


カアッ

とのんきな声を出すカラスは、

少し離れたところで一声鳴いた。

「あいつ、さっきの奴かな、

 ケガ、大したことないみたいだな。

 きっと君に感謝してるよ」

彼女はそれには何も言わずじっとカラスを見ていた。



< 121 / 338 >

この作品をシェア

pagetop