ショコラノアール~運命の恋~
「御馳走さまでした」
「また来いよ!」
「はい」
すっかり遅くまで長居してしまったけど、
ふざけてからかったお詫びだよって、
たくさん御馳走され腹一杯だった。
何人かの顔見知りの常連さんたちにもからかわれながらも祝福を受けた俺達、
同じ時間を彼女と共有することが夢のように幸せで、
楽しい時間を過ごした。
「楽しかったなあ」
「結構飲んじゃってたけど、大丈夫?」
「あー、お酒じゃないもの」
「え?」
「ノンアルコール」
「そうなんだ、だってそんな風には注文してなかったけど」
「あの人、義理の兄だもの。
私が未成年のうちは、飲ませてくれないから。
たとえ私がお酒頼んだとしても、
きっちりアルコール抜きで出してくる」
「え?未成年?」
「うん。もうすぐ誕生日なの。
3月1日」
「そしたら20になるの?」
「そうよ」
「やった、じゃあバースディ一緒に祝えるね」
「わ、ホント。やった楽しみにしてる」
「……」
「?どうしたの?」
首をかしげて上目遣いで、俺を見上げる彼女、
隣を歩いてて、先のことを話すとか、
昨日知って、眠れなかった今朝、
偶然会えた朝も、
こんなことになるとは思ってもみなかった。
「ほんとうなんだよね?」
「え?」
「今日が終わって目が覚めたら、
夢落ちとかありそうで、眠るのが怖いや」