ショコラノアール~運命の恋~
全部で25箱、

お客さんの車まで運び、

お見送りする。

はあ、

すっかり時間を食ってしまった。

まだケーキ作りの途中なのに


焼き菓子のコーナーの品物がすっからかん。

焼き菓子管理は私の仕事。

ストックはまだあるものもあるけれど、

不足するものは焼いておかないと。

買い物行ってる場合じゃないかも。


「しのちゃん、どうしたどこか行くんじゃなかった?」

「あ、でも、焼き菓子が……」


「なんだ?」


「店長焼き菓子がもうストックなくて」

「そうか、フレジェが終わったら、

 俺の手が空くからそれまではあるだけで過ごせばいい。」


「店長私がっ」


「お前、まだ途中だろ?

 作るだけ考えろって、

 店のことはしなくていいって言っただろ?」


「でも……」


「俺がそうしろって言ってる。

 判ったら早く始めろ」


「はい」


「早くて作って俺に食わせろ。

 その後死ぬほど働かせるから安心しろ」


「は、はい。買い物行かせていただきます」


「おう!行って来い」


半分涙目になっていた。

今までの店長はこんな風な後押しの仕方してくれなかった。



多分今までの作品では駄目だって判ってたんだ。



だからこそ、ここまで言ってくれる店長に戸惑うし、

期待にこたえられるか不安になる。




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