ショコラノアール~運命の恋~
ただパンを買っただけなのかもしれないし、

たまたま、話しただけかもしれないし、

知り合いのお店だったとか、

いくらでも最悪の状況を回避できることは考えられる。

だけど、


きゅっ

胸が苦しいよ。

苦しい……


ばさっ

買い物を地面に落してしまい、

拾い上げようとして、

自分の体が思うように動かなくなっていることに気がつく。

「どう、して……」



どうして私が大切に思うものは私の前から去っていくの


ママ、教えてよ、私のどこが嫌い?


どうして置いて行ってしまったの?


お願いママ----お願い教えて、

そうじゃないと私はこのくらいのことで心が潰れちゃうの……


苦しいーーーーーー息ができない……


『大丈夫ですか?』



そう誰かが言ってくれたのは耳に入ったけど、

もう振り返る力もなくて

「た.助……けて、なおくん……」



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