ショコラノアール~運命の恋~
「はじめてなの」

は?


彼女が部屋の前で、立ち止まって、

俺の顔を見上げる。


「家族以外部屋の入れるって、

 だから、

 変でも笑わないでね?」


スラッっと襖をあけて、

俺を招いた。


ごくり。

息をのみこんで

部屋の入口に立つ。


ふわっ

と香る女の子の香り。

って、第一声がそれって変態かな俺。

ベットは多分2段ベットを分けたもので、

飾り棚には丸くてコロコロとしたぬいぐるみが重ねられてた。

「あ、それ、昔流行ったまんじゅうキャラ。

 可愛くて捨てられないの」

俺の視線に気がついてあわてて言い訳をする。

パティシエ見習いの、しのちゃんらしいな。

甘い香りに甘いキャラのぬいぐるみ。

くすりと笑うと、

「子供っぽい?」


「ああ、そんなことない。

 その、かわいいよ」


「ヤダもうっ」


こんな、やりとりさえこそばゆい。

俺たちやっぱ付き合ってるんだなって思う。

はは、今更だけど。


「なおくんそこ座って」


指差されたミニテーブルの前乃クッションに座ると、

「これね」

どさりと目の前に置かれたのはアルバム。


「写真?」

「うん、これ見せながら話するね」









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