ショコラノアール～運命の恋～

「君のせいって……」

「私、ここの家の子じゃないんだと思う」

「え？」

「私、パパが浮気してできた子だったんだと思う……」

「思うって……」

「うん。さっき言ったでしょ。良くは分からないって、

はっきりしてるわけじゃない。

でも、就職するために取った戸籍に、

生まれてすぐ私は養子になったってことが判ってね。


ああ、だからママは私が嫌いだったんだって、

ホントはママの子じゃなかったんだなって判ったら、

全てが繋がった気がした」


「本当のことはわからないじゃないか」



「私の20才のの誕生日。

パパは何か話してくれるっていう約束なの。

今年の誕生日。

覚悟してるんだ。

その日、私はこの家の子供じゃなくなるかもしれない」


彼女は空中を見ながら

淋しそうな表情をして呟くように告白した。


彼女の小さな肩は、

ずっとずっと、

不安な荷物を背負っていたんだ。


お気楽な学生風情が一体彼女に何かしてあげることがあるだろうか。


「ごめんね、こんな重い話して。


これが私なの、
それ以上でも、それ以下でもないの。


嫌われちゃうかもしれないって、

言わないで言おうかとも思った。


でも、嘘ついてまで、

私を好きでいて欲しいなんてずるいよね」