ショコラノアール~運命の恋~
彼女のイメージは、

長い間、俺の中で膨らみすぎていたから、

出会ってから、



妄想とリアルのギャップの違いに戸惑うばかりだった。

彼女には彼女の事情があって、

だから、そこに今の彼女が存在しているわけで、

嫌いになんてなるわけがなくて、

だけど全てを受け止めるなんて、言えるほどの度量があるのか、

自分に自信がない。


「嫌いになんてっ

だって俺は、しのちゃんが好きなんだから。」


そんな慰めにもならない言葉しかかけてあげられない。
 
情けない。


彼女は、

「ありがと」

といったけど、

俺の言葉はただの気休めにしかならなかったのだろう、力なく笑うと、

静かにアルバムを閉じた。


ふ……ぅっ……

小さな息を漏らして、動きを止めた。


「しのちゃん……」


小さな肩を震わせて、

泣かないように耐えている。




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