ショコラノアール~運命の恋~
反射的なものだったかもしれない。



けれど、そうすることが自然だった


何かしてあげなくちゃって思った。


彼女を引き寄せ抱き締める。


さっきから香っていた彼女の香りを、

近く感じる。


甘い香りだ。



ココア?

そう、

チョコレートの香りだ、


「……な、おくん……?」


「甘い匂いがする」


「え、と……」


「おいしそうな香り」


「えっ、ちょっとっ、やっ!」


ドンっ

と突き飛ばされて、


はっとした。




「ちがっ、ご、誤解だからっ」


真っ赤な顔して、

ディフェンス体勢な彼女に、

俺今めちゃめちゃエロいこと口走ったってことに気がついて、

あわてて言い訳しようとしたけど、

上手く言葉にできない。



「なおくん最低っ」


「ごめんっ!チョコレートの甘い匂いがしてつい言葉が出ちゃっただけで、

そう言う意味じゃないんだ」


疑りの視線は変わらない


「ほんとにやましい気持ちはまったくもってないわけで……え、と」


言い訳すればするほど訳わかんなくなる。





その上、


「え~?どうかなあ?」


襖戸を開け放して

不機嫌そうな顔して、

さっき写真にいた小学生が、

大人になってイケメン度が増している幼馴染の男ちゃちゃを入れる。



おいおい事を荒立てるのはやめろ部外者野郎。


「玄関にケーキ置きっぱなしだったから、

 お茶など入れてお持ちしたんですけどね~


 その前に早々にお帰りもらったほうがいいかなあ?」



ホントに茶を入れやがった。

でもそれは案外功をそうして、


「ケーキ……

そうだ、ケーキ食べてもらわなきゃ」


彼女は、思い出したように立ちあがった。


























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