ショコラノアール~運命の恋~
陽君は嫌いだったけど、

私は陽君に救われていたのかもしれない。


「ねえ、嫌われちゃったかなあ。」

「なんの話だよ」

テーブルにドンっと、

インスタントラーメンのどんぶりを2つおいて、いすに座った。

「ラーメン?なにも入ってないし……せめてネギ入れてよ」

「うるさい、黙って食え」

「……ん」


ハフハフしながら、

ラーメンを食べると、じんわり体が暖かくなって、初めて体が冷えていたんだって気づいた。


「おいしい」

「そうだろう?俺の得意料理だし」


自慢そうに言いながら豪快にズッズ-っと一気に

ラーメンをすすった。


「これ料理じゃないし」

「じゃあなんだよ。ちゃんとゆでて、器に盛ってんだぞ。

 れっきとした料理だろ?

 お前インスタント麺様に謝りやがれ」


「何よインスタント麺様って、ばっかじゃないのぉ~?」

「うっせー、いいから早く食わねえと伸びるぞ」

「あー、うん」


ふふっ

笑いながら再び麺をすすった。


さっきからなんだか優しい陽君、

慰めてくれてるのかな。


「嫌っちゃあいないだろ?」


「え?」


「さっきの話、

 お前の彼氏はさ、その程度の奴じゃないだろって話」

「なんだ聞こえてたんじゃない」

「そうやって笑ってろよ。

 お前は笑ってるのがいい

 久しぶりだ」


「ふんっ?」

麺が終わってスープを口に含んだところだったので、

変な返事しかできな私を、

陽君は鼻で笑って。


「お前、おばさん出てから、

 俺の前で笑わなくなったからさ、

 俺、きつかった」


「陽ちゃん?」


親指でするりと口元をぬぐわれて、

驚いて目を見開くと、

その親指をぺろりとなめたて笑った。



「な、何?」


「俺、お前が好きだった」













< 183 / 338 >

この作品をシェア

pagetop