ショコラノアール~運命の恋~

「ここだ」

そういって案内されたのは、

昭和臭ムンムンのレトロな一戸建て。


「ただいま」

サザエさんさながら、

木製の硝子引き戸を音を立ててがらがらっと開けて、玄関に入る。


「お邪魔します……!」


ノムさんの後ろから入った瞬間絶句した。



「いらっしゃいませお客さま。

おかえりなさいませ八起さん」


ウサ耳メイド服で三指ついてお出迎えって、ありなんですか?

俺が目を白黒させていると、くくくっと笑うノムさん。


「気にするな、こいつの趣味だから

 音々、彼は宮くん。

 楡の常連客」


「まあ、楡の、

 はじめまして野村音々です」


駄目だ視線がどうしてもうさ耳に行ってしまう。


趣味ってどういうことですか?

教えてください~!!

と、叫びだしたい気分だった。
< 190 / 338 >

この作品をシェア

pagetop