ショコラノアール~運命の恋~
「なお君私を待っていてくれたの?」

男の隣で俺に向けられた戸惑いな表情に、

何で俺はこんなとこににいてしまったんだろうと後悔した。


「あ、いや、その、スマフォ失くしちゃって、

 この辺にないかなあって、探してるんだよね……」




「スマフォ?!いつから?」


「え?俺?さっき来たんで、……あ、スマフォのこと?」


「そうだよ!ずっと連絡してるのに、

 何にも返事なかったし」


「昨日からなんだけど、

 その、もしかしたらしのちゃんの部屋になかったかなあ」


「私の?え……なかったと思うけど、夕べも何度もメールしてたし、

 あったら判ると思う」

「でもさ、気がつかないことだって……」

食い下がる俺の間に、さっきから彼女と一緒の男が割って入る。


「しつこいな、新手の押しかけオオカミかよ。

 ないって言ってるだろ?」


「ちがっ!……」

ガアアアッ

俺の言葉が届かないうちに、

目の前にバスがやってきて止まると扉が開く。


プシュー


「早く乗るよ!」

先に乗り込んだ男が彼女の腕をつかみ引っ張り込む。


「なおくんあのっ……」

何か言いたそうにしたけれど、

ガコッそれを遮るように勢いよく扉が閉まった。








< 213 / 338 >

この作品をシェア

pagetop