ショコラノアール~運命の恋~
「おねえちゃん」


「ンー……。」


「酔っ払ってるの?」


「しの~っ、私もうここに戻ってこようかな。

 いいわよね、だってここは私の家なんだし、

 このうちの娘なんだもの……

 どうしてなの?

 ……私の家なのに、なんで私ばっか我慢しなきゃいけないの?」


「おねえちゃん?」


「もういいでしょ、返してよ私のパパ……」


「お姉ちゃんどうした……の?」

「しのちゃんは、全然悪くない、

パパは、いつだってそういうけど、

ほんとにそうかな?」

「亜紀ちゃん?」

「あ、陽くん。

はは……ごめん、私ちょっと情緒不安定みたい」


うっ

お姉ちゃんは口を押さえると、

トイレに駆け込んだ。


うっうえぇーーっ


暫くトイレにこもった後青白い顔で出て木やお姉ちゃんを

陽くんが今使っている、元お姉ちゃんの部屋に

布団を敷いて寝かせる。

お姉ちゃんは掛け布団をくるくるっと体に巻き付け小さくなった。

すんすんと、鼻を吸って、

布団を被ったまま、


「ごめんね、しのちゃん、私どうかしてるの。

さっき言ったことは気にしないで」

謝罪するお姉ちゃんに、うんと返事をしながらも、

お姉ちゃんが何かに苦しんでいること、

それが私のせいなのだと言うことなのだろうと思うと、

いたたまれなかった。


「詩信少し寝かせてあげよう」

「うん……」

陽君がいてくれてよかった。

一人の時でなくて良かった。

お姉ちゃんと二人きりなら、ちゃんと正気じゃあいられなかったかもしれない。



















 
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