ショコラノアール~運命の恋~
「もう、寝る」

テーブルにコツンとビールを置くと、

平静を装って、階段を駆け上がり部屋に飛び込んだ。


ベットに横になると、布団に包まり丸まった。

何、何なんなの?


リフレインする

『お前には俺が……』


心臓がバクバクして身体がひどく熱い。


「陽君が私を好き?って

 そんなの嘘よ。

 信じられない……」


だってだって、

中学校に入って、いつの間にか人気者になってた陽君

そんな陽君は私を奴隷としか思ってなくて、

平気で雨の中買い物に行かせたり、

でも、あの時後から追いかけてきて、荷物を持ってくれたけど……


それに、


そうだよ、陽君のことを好きな隣のクラスの子にケンカを売られた時、

こんなやつ相手にするなって、

その子と一緒に馬鹿にしたり。

でも、おかげでそれ以上嫌なことは起こらなかった。


陽君が言うようにあれが、私をずっと守ってくれるための行動だとしたら


だとしたら私は……

ううん……


だけどね、陽君、

だとしても、

あの頃の私は陽君の好きだったから、余計に、

みじめで、私の心は折れちゃったんだよ。


だから嫌いになることにしたの。


好きだった気持ちを打ち消して、嫌いになることで自分を支えていたの。


だからきっと今さらだよ、


無理だよ……











< 220 / 338 >

この作品をシェア

pagetop