ショコラノアール~運命の恋~
本当に?

無理?

そうなのかな?


むくりと布団から出て起き上がる。


じわじわと寄せる疑問。


今の私なら、陽君に向かいあえることもできるんじゃない?

だってあの頃の私とは違うんだから。


ふと落とした視線の先のテーブルにアルバム。

「ヤダ、出しっぱなしだった」

手を伸ばしてアルバムを取り上げると、その間に挟まっていた硬いものがゴトリと落ちた。

ランプが点滅しているそれは、自分のものではなかった。


「あ……これ」


『スマフォ失くしちゃって、……』

なお君の私を見つめた時の困ったような、

申し訳ないような顔を思い出して


スウッと体温が下がっていく気がした。



私何やってるんだろ。

さっきまで全くなお君のことを忘れてた。


陽君の意外な行動と告白にすっかり心を奪われてて、

なお君のことを頭の中から切り離していた。


「私ったら最低だ」

携帯がまるで責めるみたいに着信のランプを点滅させている。


きっと私が送ったメールを告げるランプだ。

何で気がつかなかったんだろう。

もっと早く気がついてたら、

今日一日落ち込むこともなかったのに、


勝手に誤解して勝手に傷ついて、勝手に落ち込んだんじゃない。


「ごめんなさい……」


届くことのない謝罪をつぶやいて


ぎゅっと携帯を握りしめた。























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