ショコラノアール~運命の恋~
声に反応できなくて、
そのまま地面を見つめていた。
「ちょっとどうしたの?
あ~、まさかあの子に振られちゃったとか?」
振られた?誰が?俺?……
神経に感覚が戻るように、じわじわとその言葉がしみてくる。
「そうか俺、振られたのか……」
「ウソ、図星とか?
ねえ、だいじょうぶ?」
身体を震わせて、
ゆっくりと声の主を見上げると、
街灯の光とその人の輪郭が重なって、
やけに神々しく見えた。
「ちょっとなおくん?」
その声は遠く彼方に聞こえて、
頭のなかに響いて跳ねた。