ショコラノアール~運命の恋~
「確かこの辺なんだけど……」
私は、職場ではなく、
違う場所に向かっていた。
昨日メールで添付された地図を確認しながら、歩き回ってもう30分。
方向音痴だった自分に今ごろ気づいて苦笑する。
電話番号ナビに入れたら良かった。
『地図送りましょうか?』
昨日電話で場所を確認したら、
空メール送るように指示された。
忙しかったのかと知れない。
すこし相手先の声が面倒くさそうに聞こえて、
お願いしますと返事をして電話を切り、
急いで空メールを送ると
まるで用意された様に直ぐ事務所の地図が送られて来たのだ。
。*.。*。.。*。.*。
「あ、あったここだ」
狭い敷地にお寿司みたいに、
トラックがつまっていて、
ビックリした。
「きゃあ」
ブーンと勢いよく出てきたバイクに、
はねられそうになって転んでしまった。
「ああ、そんなとこに人がいろなんて気がつかなかった。
ごめんなさい大丈夫?」
バイクに乗っていた女の人がてをさしのべてくれたけど、
自分で立ち上がって、
「大丈夫です。
こっちこそぽんやりしてて、すみません」
と、謝罪した。
その人はヘルメットを脱ぐと、
「もしかして、昨日の電話の?」
私の顔をじっと見つめた。