ショコラノアール~運命の恋~
『図書館司書の先生、

 やめるって知ってる?』


『え?そうなんだ』


大卒ほやほやのかわいらしい先生だった。



『男子がっかりするだろうね』


『がっかりするねきっと。

 何でなの?』



『結婚するらしい。

 遠恋だって』

      

『へー。マジでちょっと気になる話、

後で聞かせてもらおうよ!』



『聞きたい~、今日休みで残念だね』


たまたま、貸出当番だったわたしは、

そんな噂話を耳にした。


となりで返却処理をしていた谷川君が、

固まったままだったのに気がついたのは、

噂話をしていた二人が、

『これよろしく』と本をカウンターに置いたときだった。


『すみません!ちょっと!時間ないんだけど』


と、呼びかけてるのにまったく動こうとしなかった。


あわてて私が対応したけどそのあとも、

心ここにあらずな様子で、

様子がおかしくて、

あらかた作業がおわった後も、

ずっと俯いたままだった。






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