ショコラノアール~運命の恋~
心底悪いと思っている彼女の態度に、
わたしの卑屈さが恥ずかしくなる。
それにもっと引っかかったのは……
「拾ったって……いつ?」
「一昨日の夜9時過ぎてたかな。
誰もいないバス停でうずくまってたの。
この寒い時期に自殺行為よね」
「一昨日のバス停……?!」
やっぱり、
それって、私たちに会った後だ。
携帯を探していた彼。
ちゃんと確認もせずないと言って、
陽くんとバスに乗ってうちに帰ってしまったこと。
陽くんに引きずられたと言っても、
気まずさも手伝って、あの時私はなおくんから逃げた。
あの後なおくんはずっとあそこにいたんだ。あの寒さだ、肺炎になりかけたって不思議はない。
彼氏を置き去りにして他の男と帰って行くなんて、彼女なんて言えない。
「携帯、家に忘れてあって」
「なくしたって言ってたけど、彼女さんの家だったのね。
早く聞けばいいのに、
本当に、不器用で、間の悪い人よね」
「これ、渡して下さい」
そういって携帯を差し出すと、
葉月さんは、驚いて私を見て、
ばつの悪そうな顔になった。
「なんか誤解してるでしょ?
さっきも言ったけど、私たちってなんでもなくてっ」
「私!!
元々今日でお別れしようと思って会いに来たんです。
あの、
なお君のこと、よろしくお願いします。」
「え、ちょっとっ!
やだ困るよっ!
ダメっ!帰らないで!
なお君っ起きてっ!おきなさいよ!
起きないと蹴っ飛ばすわよ!」
っていいながらすでにベッドを蹴りあげていた。
うわああっ
この人、かわいい顔してすごい大胆。