ショコラノアール~運命の恋~
…………


食事が終わった頃にはもう、

日付が変わろうとしていた。



「……ごちさそうさまでした。」


たわいのない話で、和やかな雰囲気で、

まるで、昔からこうであったような不思議な感覚に陥っていたけど、

何年も音沙汰もなかったママと、

お姉ちゃん夫婦。


居候を決めて居座る元御近所さんの陽くん。


そして、二日間家を空けていたパパ。


どう考えてもおかしな取り合わせだよね。



パパは、前々から準備していたんだろう。

わたしの二十歳のバースディーを。


これからの私の身の振り方を決める日のために。



「さて、」


総口火を切った父の言葉にビクリと反応したわたしを見て、

困ったように眉を下げパパは続けた。


「宴もたけなわですが、

この度、娘、詩信も二十歳の日を迎えられて、

いよいよ、大人の仲間入りするわけだが……」


「パパ、宴会じゃないんだから」

茶々を入れるお姉ちゃんに、


「お、そうだな。

詩信が成人するまでと黙っていて全てを話すと約束してあったことを話したいと思う。

はは、一寸入り組んでるんだけど、大した話じゃないんだ」


はははと笑いながら努めて明るく話を続けた。






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