ショコラノアール～運命の恋～

「私は無精子症なんだ」

突然なパパのカミングアウトからはじまった。

その話は、私が想像していたものよりさらに上をいくものだった。



…………



それは、パパが高校時代に遡る。


パパが酒井信彦さんと親友になったことからはじまった。

陸上部だった二人は長距離選手で、

常に行動を共にしていたらしい。酒井さんは容姿も成績も良くて誰からも好かれる人気者だったけど、

パパは、まじめで人付き合いが得意でなかったけど、酒井さんのおかげで楽しい高校生活を送っていたらしい

酒井さんは陸上部のマネージャーだった柿沼絢香さんと付き合っていた。

絢香さんは、今、目の前にいるママだ。

ママとパパは幼馴染で、それがきっかけでマネになったから、

パパとも仲が良くて良く三人でいたようだ。



高校卒業時

絢香さんの妊娠が発覚した。

酒井さんは産むことを望み、

二人は学生結婚をして、その時生まれた赤ちゃんがお姉ちゃんだった。

まだ若い二人にお互いの両親に反対したけれども、

酒井さんとママは二人で小さな命を守ることを選んだ。

人のいいパパは、そんな二人を色んな面でサポートしながら二人を見守っていたらしい。