ショコラノアール~運命の恋~
…………

「パパが悪かったんだ。

ちゃんとママに話してやらなかったから」

「パパは、ちっとも悪くないじゃない。

パパはやさしいだけ。

悪いのは、その私の産みの親たち、

パパもママも可哀想だわ」

「詩信……」

パパがずっとこのことを言わなかったのは、

私が自分の出生に嘆かないように、

私をこの世に送り出した両親を恨まないように。


ほんとにお人好しなんだから。


「ごめんなさい……

考えてみれば一番ひどい目に会ったは、

あなたなのに

真実を知ってしまった時、

詩信の名前で気がついてしまったの。


結局あなたも、あの人も、

彼女のことしか愛してなかったんだって

だから、私を愛してくれる人に逃げてしまった。


何もかも押し付けて。


あなたは私が一番苦しかった時、

手を差し伸べてくれたのに、ひどい女よね

ごめんなさい。」


「君もあいつらも、俺に残してくれたじゃないか。

家族を。

俺は誰も恨んではいない。

決して信心深い方じゃないけど、

君たちとの出逢いは、

神様が病気の代わりに与えてくれた、

宝物だと思っているんだよ。



ありがとう。」









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