ショコラノアール~運命の恋~
家族との橋渡しをしてくれた陽君は私の気持ちを考えてくれてた。


私だって陽君に気持ちがなかったわけじゃない

初恋の人だもの

だけど、

私はこの手をとってもいいの?


「陽くん、私……」


俯いた私の背中をポンポンと叩いた陽くんは、

「わかってる」

「え?」


「お前が、そんな器用な奴じゃないってこと」


「……?」


「まだ、あいつと別れた訳じゃないんだろ?」


「わ……」


別れたよって言いそうになった。


そうだよね、なんで私はこんなに宙ぶらりんなんだ。


なお君にサヨナラっていいながら、

たった今まで忘れてた。


自分の中でだってなお君と別れたことすらで納得してる訳じゃないくせに、

今、陽くんに言われて、気持ち揺れてる。


情けない、何調子くれてんだ私っ。



これじゃまた、繰り返しだ。


誰かに頼って誰かのせいにして生きてきた私をまた繰り返すことになるんじゃない?



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