ショコラノアール~運命の恋~
「……ごめん」

私から出た答えを予想していた陽くんは、

苦笑しながら、ちょっとだけ無精ひげになってきた顎を触りながら、

ため息交じりに言葉をつなげた。


「ちぇっ、

別れろなんて強制する男はサイテーだしな。


だけどさ、あいつのどこがいいの?


正直、俺の方がいい男だし、

俺の方がお前のこと分かってるし、

俺の方が絶対お前のこと幸せにできるはずダロ?


な?正直に言って見ろよ。


お前、俺のこと好きなんじゃないか」




「オレオレってなんかの詐欺みたい」


「は、詐欺とか言ってんじゃねーって、


 俺は本気だからな。

まあ、信じらんないのは自業自得だしな、

しょうがないか。」



本気なのはちゃんと伝わってるよ陽君

でもね私は、

今の私は恋愛とかそういうことを考える時期じゃない気がするんだよ。


今まで掛け違えた色んな事

そこで培ってしまった前向きになれない私の性格、

そこから派生する誤解や誤算、

そう言うの全部ひっくるめてゼロにする。


そこからもう一度私というものを作り上げなきゃ。


だから、言わなきゃだと思うんだ。


「ごめん陽君」


ゼロになる、そしてそこから始めるために……













< 271 / 338 >

この作品をシェア

pagetop