ショコラノアール~運命の恋~
けど、やっぱりうらやましい。

南がその彼女と出会ったのは、

あの日だったのだから……


あの日、



俺たちは出会うはずべくして出会った。


南が忘れて荷物を持ったまま合コン会場に行ってしまったせいで、

その合コンに参加できなかった俺。


訪れたケーキ屋に勤めていた彼女も、その合コンに参加するはずだったのに、

その荷物のせいで参加できなかった彼女。


けれど、その荷物を介して結局その日俺たちは出あった。

しかも、その彼女こそ俺が3年も探し続けた人。


これは運命としか思えない。


だったのに……



そう思ったのは俺だけで、

彼女も、いや運命をつかさどる神様までが、

それは違うと

否定したんだ。


運命なんて調子づいてた俺は……とんだピエロだったよ。


ぐしゃりと握りしめた受験票を無造作にポケットに突っ込み、

べらべらとノロケともとれるぼやきを

聞かされ続けた。

< 279 / 338 >

この作品をシェア

pagetop