ショコラノアール~運命の恋~
芳賀さんが去った後ぼんやりしている内に、


さっきまでにぎわっていた会場はすっかり整然とされ、

私はぽつりと残された。


「あれ?まだいたんですか?もうここ閉めるけど」

ビルの管理会社の人がやってきて、

帰るように促されてしまったのだ。


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この世界で有名な夏尾店長


たまたまケーキを食べて感動して押しかけ弟子になった私は、

あの会場にいた人たちより恵まれているのかもしれない。





電車はそんな私の悩みなどおかまいなしに不規則に揺れて、

眠りに誘う。




ケーキを作るのが好き。


美味しいケーキが作りたい。


それだけじゃ駄目なのかな。

それだけじゃ………





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