ショコラノアール~運命の恋~
------------


急に降り出した雨、

講義の声が届かないほどの土砂降り。

「やだ、私傘忘れた」


「どうせすぐやむよ。

 天気予報で言ってた、

にわか雨が降るって、


それにしても激しい振りだね。

ゲリラ豪雨?」


窓に打ちつける雨音、

ざわつく講義室に、

教授が講義は無駄だと思ったようで、

早めに講義を切り上げた。



「やったね!あーでもどっちにしろ外に出るのは難しいね。

 どうするこのまま此処でのんびりする?」

「え~?つまんない。

 せっかく早く終わったのに」


「いいじゃん、一緒にいればどこだって同じだろ?

 まあ、いちゃいちゃはできないけどな」


「やっだ~もうっ」


後ろでさっきからいちゃいちゃする男女のやり取りを、


背中に聞きながら

講義室を黙ってはなれる。


ちょっと前なら、リア充なやつらを見るだけでイらっとしたけど、

最近はも言う何も感じない。


恋愛は誰とでもすればいいわけじゃない。


相手がいてその人に求められてこそなのだと思う。


「あれ、宮、帰んの?」


「ああ、帰って寝るわ午後からバイト入ってるし」


「土砂降りだぜ?

お?お前傘あんのか?

相変わらず用意周到だな。

俺も入れてってよ」


「やだし、お前午後授業あるんだろ?

 部室でも顔出していけばいいじゃん」


「つめてーの。マジあり得ないから」


「男の相合傘とかの方があり得ないから。

 お前まさかそっちの趣味あるのか?」


「ば~か」


バサッと傘をさし歩きだした。

「おいって」


無理やり傘に入り込んで笑う早瀬をうざいやつだとは思うけど、

肺炎で入院してたり出られなかった時、

色々と学生課に掛け合ってくれたのはコイツだった。

単位を落とさずに済んでいるのはコイツのおかげだから、

感謝はしている。


ただこいつの狙いが明らかなだけに、

ちょっと優しい気持ちにもなれない。















< 293 / 338 >

この作品をシェア

pagetop