ショコラノアール~運命の恋~
「バイト行くんだろ?俺もついていこうかなあ?」

「迷惑だ」

「客ならいいだろ?ってか文句言えないよな?」

「……お前さ、

葉月ちゃんに会いたいだけだろ?」


「へへへ」


「あの人、今がんばってるんだから邪魔しないで欲しいんだけど」

「だからちょっと見るだけじゃん。

 邪魔とか絶対するつもりないし」


「どうだかな」


早瀬は俺の世話をしてくれてた葉月ちゃんに一目ぼれして、

何度も告白しては振られている。


けど、こうやって俺のバイトについてくると、

俺のバイトの時間に葉月ちゃんが顔をだすってことに味をしめてついてきたがるんだ。

相手にされてないだから諦めればいいのにと、思う反面、

諦めの悪さなら俺の方が筋金入りだから、

強くは言えない。

早瀬は数少ない俺の事情を知ってるやつだから。

大ぶりな雨の中叩きだすわけにもいかないか。

しかし……


男同士の相合傘ほど淋しい気持ちになるものは無いんだけどな。


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