ショコラノアール~運命の恋~
バスに乗り座席に座りため息をつく。

みんな前に進んでいるのに、

進路さえ決められず、

バイトさえ葉月ちゃん家に甘え、

詩信ちゃんを傷つけたくないなんて言いながら、

これ以上自分が傷つくのが嫌だったからなのかもしれない。


どうしたらいいかなんて判れば苦労しない。

いっそ記憶喪失にでもあれたら簡単なのに。


詩信ちゃん思って探していた時間。


出会えた嬉しさ、

思いが通じた感覚。


言いたいことが言えないもどかしさ。


失った後の喪失感。





全てが俺の感覚の全てを掌って

今の俺が出来上がってしまっている。


女々しいって言われてもしょうがない。

失って更に彼女に対する思いが深くなってしまうのだから。



会いたい、会いたいよ。


君に会いたい。



君が俺を呼ぶ声は今でも消えることは無いんだ。


『なお君……』


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