ショコラノアール~運命の恋~
「私も、びっくり。
久しぶりだね。
ええと、あそうだ、運送屋さんのバイトやめたんだって?」
「ああ、うん。
あそこはね。
違うバイトはしてるよ。
そうか知ってたんだ?」
笑いかけてくれる笑顔が妙にまぶしくて、
恥ずかしくて俯いてしまう。
「ああ、うん橋本さんが聞いてたから。
べ、別に私からきいたわけじゃないの。」
「うん。分かってる振った俺なんて興味もなかっただろうしね。」
そうじゃない。ずっと気になってたし会いたかった。
自分が上手くコントロールできなくて、
色々あってはなれたけど、
嫌いになって振ったんじゃない。
そう言いたいのに、言葉が出ない。
なんて言い訳しても、私は直君を振ったんだって事実は事実だ。
今更なんて言って説明しても私の身勝手さは拭えない。
あの時私は気持ちを伝えたはずだけど、
でも、結果的には別れを告げたのだし、
私の身勝手で彼を病気にしておいて、
その上彼に別れを告げたんだ。
最低な別れの状況を作ったのは私だ。
いいわけなんてしてもどうにもならない。
ふとあの人、直君の部屋で会った人のことを思い出した。
「あの人は、ええと、葉月さんは元気?」
「葉月ちゃん?うん元気だよ。
今は司法試験の勉強で大変そうなんだ」
「へえ」
会ってるんだ、っていうかあの流れなら付き合ってるよね。
せっかくあの人が機会を作ってくれたのに、私が別れ話にしてしまったんだもん。
「私ね……」
「あ、バスが来たよ」
私の話を遮るように、バスが目の前にやってきた。
プシューっ
扉が開いて、彼が先に乗り込む私は後についてあわてて乗りこんだ
「はい」
「え?ヤダ、ありがとう」
私うっかり彼が荷物を持ってくれたことに気がつかなかった。
身軽だって事にすら気がつかなかったなんて、
1人だったら忘れ物しちゃんたのかも。
情けない。
「あのっ、ありがとう」
もう一度お礼をい言うと、
彼は口元を緩ませて笑ってから、
「うん」
と頷いた。