ショコラノアール~運命の恋~
どうして私……ダメこのままじゃっ
両手の荷物をばさりと落として、
走り出した
走り去って小さくなっていくバスの窓を追いかける。
「待って!
嫌だっ
待ってなお君っ
なお君っ
---っ、なお君!
私っ
聞いて!
ねえっ
私がんばってるんだよ!
1人でがんばってるんだよ!
ケーキ作ったよ!
奨励賞だったけどがんばったんだよ!
なお君っ
でもね、でも私ねっ
ホントはまだね
まだ自分に自信なんて全然だけど、
でもでもねっ
これだけは自信ある、
離れて淋しかったよ、
忘れたことなんてなかった。
ずっとずっと忘れてなかったよっ
なお君の言ってくれたこと、
なお君の顔、
一杯ドキドキしたこともいっぱい言いたかったことも、
沢山沢山あるんだよっ
好きっ
好きなのなお君。
ずっとずっと
なお君が好きなんだよ-------っ」
追いかけながら叫んだ。
「あっ」
スポン
パンプスがついに片方脱げてしまった
パンプスなんて滅多に履かないから、
ちょっとくらいゆるくったってそんなに困らないって、
思ってたけど、
さっきから走りずらいったらない。
「ああもう、冴えないなあ」
ぴょこぴょこと
片足で戻り、
パンプスを履きながらジワリと来る涙をぬぐった。
「パンプスなんて、履かなきゃよかった。
普段サボばっかはいてるんだから、
服だって、スカートなんて走りにくいし、
似合わないんだもん」
半泣きで来た道を戻った。
投げ出した荷物は持ち主の私の心みたいに、
情けなく広がっていた。
「あ~あ……何やってんだろ私」