ショコラノアール~運命の恋~
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「良かったの告訴しなくて?

 被害届も取り下げたんだって?」


「うん。反省して出頭したわけだし

 これで犯罪者になっちゃうのはかわいそうだと思って」


「もう、ホント甘いんだから!

まあ、ガラス代は弁償して貰ったし、

親が謝罪に来たし、私的にはまあいいけど、

ケガまでしたのにしのちゃんたら人がいいわよ。」


「そりゃあ、

 いたずらにしては悪質だし、

 被害届け有無にかかわらずペナリティはあるでしょうし。

 理由が理由だけに、なんか可愛そうになっちゃって」


原因は陽君だった。


彼女は大学の後輩だった。


お金持ちのお嬢様みたいで、

陽君は適当に付き合って利用してた。


でも、本気になった彼女は、

陽君が自分だけに向かないことを許せなかったみたい。


今まで自分の自由にならないことがなかったからよけいに、

陽君に気持ちを募らせて、

色々猟奇的な行動に出てたみたい。


陽君が女装までしてこっちに隠れてたのは、

今回のことを考えると大げさなことでは無かったんだろうね。



こっちで過ごした後、陽君は気持ちを入れ替えて、

大学に戻って、

彼女にも誠意をもって接して解決しようと思ってたらしいけど、

それは通用しなかった。


表面上は陽君の言葉で納得してるふりして、

もうとっくにお金を使って陽君の行動を洗い出してあって、

私のことも前から突き止めてたみたい。


陽君が送ってくる定期メールを盗み見た彼女は逆上した。


彼女にとって浮気の現場を押さえたみたいな気分だったにちがいない。


陽君に『浮気相手を殺すから』と宣言して姿を消したらしい。


そしてあのメールと事件につながる。







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