ショコラノアール~運命の恋~
会場は相変わらず美味しい料理と、

ゴロちゃんの話術で大盛り上がり。


私たちはカウンターの奥に座ってその様子を楽しんでいた。


家の家族や常連さんとかとにかく入り混じってて

ガヤガヤとにぎやかだった。

直君は何か話しかけるけれど、よく聞こえなくって、

うまく会話にならない。

意を決したように私の隣に座ると耳元で、

大きな声を出した。



「ねえっ!しのちゃんお願いがあるんだけど!」


「えー?なあに?」


「今度ーっうちの学祭の日なんだけどさ、その日休みとったって言ってたよね!」


「あーっうんもちろん行くよ。楽しみにしてるんだ」


「いや、そうじゃなくって、

 せっかく長く一緒にいられるんだから、

 さぼってどっか行かない。」


「えー?」


「だめかな?

 ちょっと車で遠出して軽井沢とかいかない?」



「え?でも免許持ってたの?」


「一応ね。っていうかバイト運送やだったでしょ?」


「でも、バイク便だったし、バス使ってたから」


「まあ、車は持ってないけどね。

維持費勿体ないし、バイクで十分だったからね。


 車はレンタカー借りていけばいいかなって思うんだけど。」


「でも、あの、運転とか……安全?」


「もう信用ないなあ。

大丈夫!パン屋の配達とか結構しょっちゅう運転してるんだけど」


突然のお誘いに驚いてしまって躊躇してしまっている。

でも、うれしいかも。

私は土日仕事あるし、

なお君も毎日卒論や内定貰う為に忙しそうだし、バイトもやってるから、

仕事が終わった少しの時間週に2~3回会えればいい感じだから。


大学祭の日に休みをもらって、

デートの気分を味わうのを楽しみにしてた。


「うん。いいかも。それいいっ!」


「ほんとやった!どこにしようかな?」


色々あったけど、少しずつ、恋人っぽくなってきてる気がする。


なおくんの横顔見ながら、幸せだなあって思う。









< 325 / 338 >

この作品をシェア

pagetop