ショコラノアール~運命の恋~

「カアッ」



ちょっと離れた塀で、

 カラスがこっちに向かって一鳴きした。


「そうだぞって言ったのかな?」


「かもね」


「わかったよ!」


なお君は大きな声で言うと、そのまま立ち上がった。


「行こうか」

「え?」

「どこでもいいから、二人で歩こう」


「うん」


差し伸べられた手は大きくて温かかった。


私の小さな手はすっかり包まれてすごく安心した。


きっと大丈夫


何があってもきっとこうしてこの人は包んでくれる。


「なお君」


「うん?」

「大好き」


「うん」


それしか言わなかったけど、つないだ手をきゅっと強く握られて、

なお君の気持ちもおんなじなんだってことが伝わってきた。


鳴きたいほど嬉しくて幸せだなって思った一瞬だった。







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