ショコラノアール~運命の恋~
ピンポン
指先からドキドキがこぼれる。
少し置いて現われたなお君の笑顔。
「お疲れ様」
「うん」
「遅くまで大変だったね」
ダメだな、
あんなに練習したのに言葉が出てこない。
玄関で早くも意気消沈。
「寒いでしょ入って?」
「うん」
だめだあ
促されるまま部屋に上がろうとして、
思いだした玄関の外のスーツケース。
どうしよう。
しょうがないタイミングを見計らって取り入れよう。
ああ、もう、あの勢いはなんだったの。
このままじゃいつもと同じ展開になっちゃう。
「ん?」
振り返った笑顔に、
拍子抜け、ホントに私たちって……