ショコラノアール~運命の恋~
ジリジリとあせりは募り、

約束の時間がどんどん近づいて、

接客をしていても気も漫ろだ。


店の電話が鳴り店長が大きな声を出す。


「しのちゃん!ロウソク見つかったって、

バイク便が荷物もったまま事故って

足止め食ってたらしいけど、

代わりの人が持って出たって、

間に会うかもしれないよ!」



「ほんとですか!」


「すぐ乗せられるように準備しておこうね」


「はいっ!」


よかった間に合いますように。


ぶぶぶっ


ポケットバイブでなるスマフォ。


「すみません、出ていいですか?」


わたしがスマフォを指差すと、奥の厨房からOKサイン。


お客がいないときや厨房以外でなら、

かかってきた携帯は要件の確認の程度なら出てもいいことにはなっているが、

一応いつもこうやってお伺いを立てている。

やっぱり使用の通話はエチケットに反する気がするから。


「もしもし?」


『しの?何処居るの?もうこっち向かってる?』


「あ、西さんごめん忘れてた。」

『忘れてたって、じゃ、まだ職場?』

「うん。今日 ちょっと無理かも、

 大事なことが済んでなくて、

 今はまだ出られない」

『ちょっと、あなたのためにセッティングしたのに』


「ほんとにごめんなさい。

 みんなにも謝っておいてください。

 こんど埋め合わせするからって。

 うん、ほんとごめんなさい」










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