ショコラノアール~運命の恋~
店番のバイトっぽいお姉さんと目が合い、

「これお得ですよ?いかがですか?」

お徳用の塩パンを買うはめになった。

まあいいか、

明日の朝用にすれば。

会計をしながら、

昨日荷物を届けた、

ケーキ屋のことを思い出した。


あの子、甘い匂いがしたな。


急いでたみたいで、顔良く見えなかったけど、

なんかひどく印象に残っていた。


チョコの子ってあんな感じの子かな。


ケーキ屋の白い制服が彼女を清潔そうに見せてた。


「今度、あの店、客として行ってみようかな。

 彼女に会えるかな?」


恋愛目的ってわけじゃないぞ、あくまで、

あの子のイメージってこんな感じって、

確認したいだけだから。


そうそう、下心なんて、


あ、ちょっとあるけどさ……

俺だって男だし……


プルプルっと首を振ると、


「あーいかんいかん、

 俺は男の純情を貫き通すんだった」

力を入れて言葉に出す。

はっ


パン屋のレジで俺は何をしてるんだ。

白い目を向ける俺の後ろに並んだ客と、

今にも吹き出しそうなパン屋のバイトの子視線から逃げるように、

差し出されたお釣りをつかむと、

ベーカリーを後にした。










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