ショコラノアール~運命の恋~

「お客さん!」

後ろから呼びかけられて、

ふりむくとさっきのレジにいたバイトの子だ。


「お品物お忘れです」


「あ、すみません」


ったく、情けないにもほどがあるぜ俺。


「いえ、あの、10分程前に賞味期限になってしまった、焼きそばパン、

 もしよかったら召し上がってください。

 あ、内緒ですよ?」


袋から焼きそばパンを一度取り出し、

またしまって俺に袋を手渡した。


「あ、ありがとう」


「いいえ、

あの、お客さん。

さっき言ってた男の純情。

そう言うの素敵だと思いますよ。


チャラチャラしてるよりずっといいです。

 がんばってください。

私応援します!」


「あ、どうも」


バイトの子はにっこり笑い、


「またパン買ってくださいね」


と、言うと

また店番に戻って行った。


俺はその背中を見送りながら、

実にきゅんと来てしまった。


俺今、モテキとまでは行かないけど、

恋愛期なんじゃね?


などと馬鹿な妄想をして呆けた。


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