ショコラノアール~運命の恋~
 配送事務所に、昨日南から預かったバイクを持っていく。

今日はシフトじゃないから、遠慮がちに顔を出し、

「こんにちわ、バイク戻しに来ました」と挨拶をする。


事務所のさっちゃんさんは(本名をよく知らない)

俺を見上げて、

ああ、という顔をして、

引き出しから封筒を取り出した。


「宮君、昨日はありがとう。

社長から金一封出てるから受け取りに印鑑押して」


「え、ほんとうですか、ありがとうございます。

 あ、そうだ、昨日の受け取りです。

 遅くなってすみません」

「ああ、はいありがと。

 全く南君には参ったわよ、

 あの後電話一本でやめちゃったの。

 今日だってシフト入ってんのに無責任なんだから

 こっちはバイク便櫂くん事故ってただでさえ、人手不足なのに」


「あ、俺は今日仕事は入ってないんですけど、

 暇なんで、シフト入ってもいいですよ」


「ほんとに!助かる、宮君ホント頼りになる、

 社員になったらいいのに。

 あ、学生に無理な話だよね」


「あー、はい、すみません」


「なーに謝ってんのよ。じゃあ、6時から頼むわ」

「はい。」


頼りにされるって言うのは悪い気分じゃない。


こうやってまじめにやっていれば社長が金一封をくれたり、

時給もいいし、バイト先としては申し分ない。


けど、南どうしたんだろ、

昨日合コンだって設定してくれたのに、

連絡してみよう。









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