ショコラノアール~運命の恋~
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バイトが夕方からだったので、

気になっていたケーキ屋に足を伸ばした。


何が気になるって、ケーキなわけない。


あの、のぞみちゃん似の彼女だ。


しかし、一般客として入ろうとしているのに、

どうしてこうも緊張するものなのか、

やはり下心なせいか。


からんとドアベルが鳴り


「いっらっしゃいませ」


そう言って振り向いたのは、この間のおばさんだった。


「こんにちわ」と挨拶すると、

俺を覚えていたらしく、


「あらっ、配送やさん!」

親しそうに話しかけてきた。


その声と同時に俺の視界に彼女が入り込んだ。

小ケースの脇に座っていたらしく

気がつかなかった。

それに何よりこの間は、パティシエのユニフォームだったのに、

今日はブルーのワンピースに白のエプロンという、

まるでアリスの様だ。


多分、接客用のユーフォニュームだろう。


おばさんもおそろいだし。


店主の趣味かなあ


俺は動揺しながらも、


「どうも」

と頭を下げるが、心臓の音がバクバクと音を立てて、


情けないくらい動揺していた。



そんな俺を不思議に思ったのか物珍しいのか、

じっと俺のことを見ていた。


なんだ、なんだ、

俺の顔なんか変なのか?


あわてて視線をそらした。



「しのちゃん!この間のほらロウソク持ってきた配送やさんよ」


「え?」


----しのちゃん?


まさか、

そんな都合のいい話なわけないか


「あの、この間は、

 ちゃんと受け取り処理もしないで、

 失礼しました」


一瞬なんのことか分からなかったけど、

受け取りの時のことか、


「いえ、こちらも、荷物管理が甘くて、

 ご迷惑をおかけしました」


彼女の視線気になりつつ、

頭を下げる。
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