ショコラノアール~運命の恋~
「あら、あなた?」

声をかけたのは、女子高生じゃなくて、

「パン屋さん」

この間焼きそばパンをくれた彼女。


「今日は、ただの一般人ですよ。」

そう言ってクスクス笑った。

確かに、昨日は白を纏っていたけど

今日は赤いダッフルコートを着た、

かわいい女の子だ。

あの時はコック帽を被っていたから気がつかなかったけど、

背、低いんだ。

150ちょっとくらいかな?


偶然とは判っていても、運命を感じて、

「今日は、おやすみなんですか?」

などと、探りを入れてしまう

下心ありありだ。


「ええ、私バイトだから、

本業は学生だし。

と、言っても、あそこが自宅」


「じゃ、パン屋さんの娘さんなんですね。」


「ええ、そうなんです」


「将来は、パン屋さん?」


「ううん、弁護士目指してるの。

 県大の法学部2年」


「頭いいんだ」


「どうかな、実際無理して入ったから、

 今は結構アップアップだよ」





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