ショコラノアール~運命の恋~
「お、俺でよかったら」
彼女はふわっと笑って、
「うん。
私、南条葉月(なんじょうはづき)。
よろしくね」
「あ、俺、宮、宮直樹 」
「宮直樹くんか、ね、なおくんでいい?」
「え、名前?」
「そうよ友達だもん。
私のことは葉月ってよんでよ」
「はづき……ちゃん?」
「は・づ・き」
神様、
世の男女はこんな風にあっさりと友達のなれるものだったんですね。
「よろしく……葉月」
「よろしくね、なおくん!」
彼女は俺の手を両手でつかんだ。
ふんわりと温かくて
掌の温もりがじんわり交わって、
うぁっ
何が男の純情だよ、
下半身に力がこみ上げてくる感覚にぎょっとした。
他の女の子とこんな風に触れ合うだけだって、こんなんなってんじゃん。
「ごめん、俺っ」
彼女の手を振り払って、
駆け出した。
これ以上彼女と一緒にいるとおかしくなりそうだ。
ダメだよな、女慣れしてなさすぎだ俺。
マジで友達に……なれるんだろうか俺。