俺を嫌いになればいい。
「め、芽留はサッカーのことよく知らねえだろ!だから俺は紗絢と2人で、」
「紗絢ちゃんもサッカーは詳しくありませぇ〜ん」
「くっ!べ、べつに紗絢は俺が教えてやるから、詳しくなくたって良いんだよ」
「贔屓だーっ!エコ贔屓だーっ!皆聞いてよ!紗絢ちゃんが好きすぎるあまり芽留をないがしろにするの!」
「なっ!!おい、待て!」
走り出す芽留ちゃんを慌てて追い掛ける廣木君。
器用に机を避けると、どたばた走り回る。
『なんだぁ?』
『また芽留とひろの喧嘩かよ』
『紗絢贔屓の廣木と紗絢命の芽留が喧嘩始めたぜ〜』
A組で追い掛けっこを始めた2人に皆はまたか、と言う表情で見ている。
その目はうんざりと言うよりも、どこか微笑ましい。