ふわり、さらり
「今日はお別れにきました」
別れてから、半年に1、2回のペースでお茶をしていた。
友人とも恋人とも違う、例えるなら遠い親戚のような感じで近況報告。
奇妙な関係だけどこれが私たちだった。
「もうこんなふうには会わない」
彼は黙って耳を傾けている。
聞き終えて驚いた様子もなくゆっくりと、口元に笑みを作った。
「そっか」
「驚かないんですね」
川澄が、昔の話したからさ
普段会っても話さなかった昔の話。
だからわかったと彼は笑った。
寂しいとか好きだとか、行かないでくれなんて引き止めない。
まあそんな言葉をうまく言える人だったら、私はここまで彼を想っていないだろうけど。