ふわり、さらり



「今日はお別れにきました」



別れてから、半年に1、2回のペースでお茶をしていた。


友人とも恋人とも違う、例えるなら遠い親戚のような感じで近況報告。


奇妙な関係だけどこれが私たちだった。




「もうこんなふうには会わない」



彼は黙って耳を傾けている。



聞き終えて驚いた様子もなくゆっくりと、口元に笑みを作った。



「そっか」

「驚かないんですね」



川澄が、昔の話したからさ



普段会っても話さなかった昔の話。
だからわかったと彼は笑った。



寂しいとか好きだとか、行かないでくれなんて引き止めない。

まあそんな言葉をうまく言える人だったら、私はここまで彼を想っていないだろうけど。






< 11 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop