ふわり、さらり
おかしいな、ベンチにみおの姿はない。
胸騒ぎがして騒がしい店内から一歩出て、外を見渡すと声がした。
「あはは面白い!」
みおの笑い声だ。
慌てて駆け寄る。
「みお!どうして外にいるの?」
「お母さん、ごめんなさい」
ふと、みおの隣に立つ人の顔が見えた。
───時が止まる。
「ちょうちょね、入口で飛んでるの追っかけたらおじさんの頭に止まったの!ごめんなさい、約束破って…」
みおの話を聞き終えて、やっと我に返った。
「すいません、娘が…」
「いえ」
そっくりな娘さんですね
彼は変わらない笑みを私とみおに向けた。