ふわり、さらり



帰り道。

お父さんへのプレゼントは自分が持つのだときかないみおは、包みを両手で抱え直しながら何度も立ち止まる。



「みお疲れたならお母さん持つわよ?」

「違うの、疲れたんじゃないの!」



空を見ているんだと彼女は言った。



「さっきのおじさんが言ってたの!空を見ていると昔あった辛いことも幸せなことも思い出すんだって」



うまく返事できなかった。



「あたし、なんで辛いこともわざわざ思い出すのって聞いたらね?辛いのも含めて大事な思い出なんだって」



なんだろう。

胸の突っ掛かりがほろりととれた。



「パパママ好きって聞かれたから、大好きって答えたよ!」

「ありがとう」



在るべきところに、なにもかもが収まった気がした。



「私も、お父さんもみおも大好きよ」



私は、幸せを噛み締めて、言った。



─fin─



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