ふわり、さらり
「相変わらず面白いな、カワズミ」
からかう時、わざと"ス"を濁らせる癖はまだ抜けていないらしい。
「私の名字はカワスミです、いつまで子供みたいにからかってるんですか…」
もういい大人でしょう?
うわぁ怒られた
彼は肩を軽く竦めた。
なにか言い返そうか迷ったけれど、黙ってアイスコーヒーを口に含む。
─す、と。
テーブルに置こうとしたグラスは彼の手にさらわれた。
「珈琲飲めるようになったんだ?」