ふわり、さらり
寝起きのけだるさに似ている、
彼と会う時の気分は。
起きなきゃとわかっていて目を閉じるのと同じ、無駄だとわかっていて彼と対峙している。
知ってる
のらりくらりと本気になることを避けて生きてる瀬川さんに、何を言ったって無駄なんだ。
「川澄、」
彼と抱き合ったことがある。
流れに任せてとかそんなんじゃない。
私が決めた、私の意思で。
結果、
一つわかったこと。
彼はわからない人だ。
何をしても変わらない、
言葉も体もいくら重ねたところで彼の前では薄っぺらい事実にしかならないだろう。
体を許せば女は情がわくし、男は支配を確信して相手を見下したりする。
彼には何もなかった。
用済みだとばかりに私を下に見ることも、独占欲をむき出しにすることも、
私を好きになることも。
彼を好きだと思う
でもだから傍にはいられない
自分に向かない心を見続けて疲れて、私は二年前逃げたんだから。