ふわり、さらり
「川澄、」
はっとした。
まるで夢を見ているように昔を思い出していた。
「もう二年になるね」
私の瞑想なんて知らないはずの瀬川さんのそれも、まるで独り言のようで。
だから私の胸を締め付ける。
「─ひどい」
「うん」
「瀬川さんは、ひどい人です」
うん。
自分に非がなくても否定せずに頷く、そんな彼は彼らしい。
ああ駄目だ、彼らしいなんて、私は未だに何を知ったつもりでいるんだろう。
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