イケメン様の隠し事
「俺ら別にバカップルじゃねーし」

「あら、あたしはそのつもりだったんだけど、貴也がそういうなら違うのかもねー」

最近の優は何故か意地悪だ。
貴也はもちろん、俺にも意地悪をしてくる。

「でもな、俺の優への愛をなめてもらっちゃ困るぜ!」

「貴也うっせー。あ、ってかさ、涼太達って文化祭何やんの?」

「僕らは正門のアーチを作るから、作り終わったら後は自由なんだ」

「そうか。貴也は?あれ、ってかお前何組だっけ…?」

「は?お前ずっと一緒にいといてそれはねーだろ!谷と一緒だよ!」

「まじか!?わりわり(笑」

「淳ちゃん達は?」

「俺らは仮装カフェやるんだとー」

「淳には絶対メイド服着てもらうからね?女子の期待裏切っちゃダメよ?」

「やーだー!!ぜっっっっったいにやだ。何がなんでも着ない!!」


はぁーっと涼太に寄りかかると、頬杖をつき何かを考えていた。


「涼太、何考えてんだよ…?」

「あぁ、ごめん。淳ちゃんのメイド服見たいけど、他の男も見るわけだし……かと言って僕は淳ちゃんに着てもらいたいし………」

「淳さ、セーラー服とかも似合うんじゃね?」

「それいいわね!貴也ナイスアイデアよ♡」


そう言って優は貴也のほっぺにちゅっとする。
頬を赤くする貴也。


「あのー…勝手に盛り上がってるところ申し訳ないんすけど…俺が執事をやるっていう選たく…」

「ない。」

「いやせめて最後まできこうよ。しかも何で即答なんだ…」

「あたし淳はセーラー服がいいと思うの!ね、谷君?」

「僕は何でもいいよ。どんな淳ちゃんでも好きだし」


くそ。
あっさり恥ずかしいこと言いやがって…


「淳?いいでしょ?照れてないで返事してくれる?」

「いいよ別に。しかも照れてねーし」

「やったぁ!淳の女の子の姿が見れるのねー!!♡」

「はー、だる。」


俺がうなだれていると、下の方でこっそり涼太が手を握ってきた。
なんだ?と思って涼太を見ると…

「文化祭、楽しもうね」

ニコニコしながらそう言っていた。
涼太が笑ってくれると、自然とこっちも笑顔になれる。

「おう」



それから、文化祭の準備はサクサクと進んでいった。
本番は明日。
文化祭の後は後夜祭が待っている。
教室の飾り付けやテーブルの配置。
どこで飲み物を作るかなど、いろいろ考えていた。


「ちょっと淳ー!!これ!セーラー服もってきたの!着てみて!!」

『きゃー!あたしも見たい!!』

『私も見たいかもー!』


な、何なんだよいったい…

「淳ちゃーん、呼んだー?」

は?
何で涼太がここにいんの?

俺は頭に?を浮かべて優を見た。


「涼太君に見せてあげなさいよっ」

「これホントに俺が着るの!?こんなスカート短いの!?」

「あったりまえでしょ?そこに更衣室あるから着替えなさい!」


半ば強引に入れられた誰かが作った小さな更衣室に入り、着替える………が……


俺は顔だけ出し、優に

「なぁ、やっぱこれやだ。スカート短い気がする…ってか何でセーターピンクなの!?」

「着替え終わったならさっさと出てくる!」


優に腕を引っ張られみんなの前に出る。
やっぱ、皆さすがにこれはキモいと思うかな………


『きゃー!男子鼻血出てる!』

『やばい可愛い!』

「ま、まさかここまでとわね…あたしもビックリよ…ね、谷君…」

「え、な、何だよ!皆してこっち見んなよ……」

「淳ちゃんちょっと来て。優ちゃんこの子借りてくよ」

「はーいっご自由にどうぞー」


え、え?
なになに?
俺何かまずいことしたっけ?
え?

俺はそのまま空き教室に連れ込まれ、えっとー、いわゆる、壁ドン?状態。


涼太の顔が……近すぎて死ぬ…

「ちょ、涼太さん、近すぎやしませんかね……?」

「ねぇ淳ちゃん。僕今自分に腹立ってるの。」

「それが何!?俺に言うこと!?ってか何で腹立ててんだよ…!」

「昨日セーラー服なんて許可するんじゃなかった」

「は?」

「だめ。可愛すぎる。足だしすぎ。他の男鼻血出てた。貴也にだって見せたくないよ。こんなに可愛くなるなんて聞いてない。」


いやいやいやいや!
俺だって壁ドンされるなんて聞いてませんけど!?


「しょーがねーじゃん?これ着るしかねーんだし……それに…さ?」

「それに、何?」

「後夜祭はこの格好で2人で空き教室いればいいんだし、それまで我慢しろ。」

「その格好で居てくれるの?」


少し目を輝かせる涼太。
単純かよ。


「お、おう!もーお前の言うこと聞いてやるよ!」


パシリにでも何でも使ってくれ…


「はぁ…淳ちゃんが可愛すぎて辛い」

「俺はお前がかっこ良すぎて辛いよ…」

「淳ちゃんまた口に出てる…クスクスッ」

「わざとだよ……」

「え………」


やば!
何これちょー恥ずかしいわ!
こんなに恥ずかしいのか!

自分の中でめちゃくちゃテンパッていると、涼太が前から、ギュッとした感じで抱きしめてきた。

だから俺も、答えるように抱きしめ返す。

気のせいかな?
涼太の顔赤かった気がする…


「最近淳ちゃん大胆すぎる。そんな風に教育したつもりはないんだけどな……」


「大胆て何の話してんだよったく。それに、俺お前に育ててもらった覚えねーし。」


「このままお家に持って帰ってゴールインしたいんですが…」

「何言ってんの。文化祭の準備があるだろ。君そろそろ戻らないとまずいんじゃないですかね」

「あー。やたやだ。淳ちゃんと離れたくないー。ホントに好き。何回言っても足りない。ってことで今回はチューだけで我慢してあげるからね」

「なぜに君は上からめせ…っんむ」

 

酸欠になりませんように。
頑張れ俺。


そう思っていると、涼太は以外にも唇を早く離した………のだが。
首ではなく、鎖骨辺りににリップ音を立てながらチュッと何回かキスをしていく。



「んー!くすぐったいぃ!」

「ふぅ。まだたりないけど、仕方ない。戻るか…」

「はぁ………もー。心臓何個あったらもつかわかんね。」

「僕だってドキドキしてるんだよ?」

「え?り、涼太が?あの、なんかいつも余裕そうな顔して人をケラケラ笑ってるような涼太が!?」

「最後余計ね。じゃぁね淳ちゃん。また後で迎えに来てあげるからね」


そう言って俺のほっぺにちゅっとキスをする。


教室に帰ると優が俺にモデル歩きで寄ってきた。



「淳ー!どーぉ?可愛くない?この格好!」


優が着ていたのは綺麗な赤のチャイナ服。
すごく似合っている。


俺はセーラー服を着替えてから優の処に行き、優の頭をポンポンとなでる。

「すごく綺麗だよ、優」

『きゃー!!淳と優ちゃんがめっちゃ輝いてる!!』

『あたしもあんなふうにされたぁい!!』

『めっちゃお似合いのカップルって感じー!!』

「優!」

あー、これ。
貴也の声か?


「た、貴也、何でここに!?」

ホントその通りだ。

「だ、だって、優がチャイナ服着てるって言うし、ってか、綺麗な足出てる!!だめ!だめだめ!」


「はーい、いちゃつくならどっか消えてくださーい」


俺は2人の背中を押しながら、『うまく見つからないところでな』とだけ言って、教室から送り出した。


で、俺が後向いた瞬間、女子がワッと迫ってくる。


『もしかして、淳が今まで誰とも付き合わなかったのって、優ちゃんがいたから!?』

『えー淳片想いしてたのー!?』

『やだ切なーい!』


え?
何この会話!
俺片想いなんてしてねーし!!
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